魅せる装丁の秘密 – ブックデザイナーの仕事
希望の仕事に就きたい
先生、ブックデザイナーって本の表紙を作るだけじゃないんですか? もっと色々やっているように思えるんですけど…
キャリア専門家
いいところに気がつきましたね! その通りです。ブックデザイナーは表紙のデザインだけでなく、本全体のデザインに関わります。具体的にどんな仕事があると思う?
希望の仕事に就きたい
えーっと… 、「本の内容についてどのような用紙にどのような活字を用いて印刷を行うのかを提案する」って聞いたことがあります。
キャリア専門家
そうです! ブックデザイナーは、紙の種類や文字の大きさ、字体など、本を読む人が読みやすいように、そして本の内容に合っているようにデザインする役割も担っているんですよ。
ブックデザイナー/装丁家とは。
- ブックデザイナー(装丁家)の主な仕事内容
- ブックデザイナーとは、本の作者の製作意図に沿いながら、自身の視覚的表現及び感覚などの技術を動員して、本の表紙やカバーの装丁を行う仕事です。 思わず手にとりたくなるようなデザインをすることで、本の売れ行きに影響を与えることもままあります。その製作意図によって様々に変化します。カバーなど本を保護するパッケージとしての要素と同時に、書店の中で本を引き立たせるための視覚的表現能力の両方が必要になる。 まず、作者や編集者と打ち合わせを行い、本の内容や編集者の意向、購入のターゲットとなる読者層などを把握します。さらに、先行している本文の原稿を読み、制作する本の理解を深めます。絵画やイラスト、写真などの素材を集め、内容のイメージを壊さずに、よりイメージをふくらませたり深めたりする作品を提案します。 デザイン案を複数制作し、出版社などの編集者と検討を行います。ブックデザイナーの素案がそのまま通ることもあるが、最終デザイン決定までは、幾多の時間を要することが多いです。 デザインは、パソコンを使用して作成することが近年、多くなってきており、その場合には印刷所に入稿できるデザインのデータを作成する。 ブックデザイナーの役割は、本のカバーや表紙の装丁だけではなく、本の内容についてどのような用紙にどのような活字を用いて印刷を行うのか、本全体の設計に責任を持つ立場にあります。 本文の文字の大きさや字体、目次、扉などを手がけることも重要な仕事である。
- ブックデザイナー(装丁家)になるには
- 美術系大学やデザイン学科のある専門学校で技術などを学び、デザイン事務所や出版社に就職するのが一般的です。 装丁によって、本の売上が左右されると言っても過言ではなく、出版社で編集者をしていたりデザイン会社で編集デザインを経て、ブックデザイナーになるケースが多いようです。 本の制作に携わる職業のため、タイポグラフィー(フォント)と呼ばれる文字と紙(素材)についての知識を欠かすことができない。 アシスタントとして知識を身につけ、次第にブックデザイン全般を任されるようになる。 また、現在はコンピュータを使用したデザインが主流のため、この技術も習得する必要がある。
読者を惹きつける、ブックデザイナーの役割
書店にずらりと並ぶ本の数々。その中で、私たちの目に留まり、つい手に取ってしまう本があるのはなぜでしょうか? それは、優れたデザインによって、本の魅力が最大限に引き出されているからに他なりません。
まるで、読者の心を「読む」かのように、装丁という「衣装」を仕立てるのが、ブックデザイナーの仕事です。
彼らは、本の内容、著者、そしてターゲットとなる読者を深く理解した上で、文字の書体、大きさ、配置、色使い、イラスト、紙質などを決定し、表紙、裏表紙、帯をデザインします。魅力的な装丁は、本の顔となり、読者の購買意欲を高めるだけでなく、作品の世界観を表現する上でも重要な役割を担っています。
本の世界観を形にする、デザインプロセス
読者が書店で手に取る一冊の本。その表紙のデザインに目を奪われた経験は誰しもあるのではないでしょうか。
まるで、本の顔ともいえる装丁を手掛けるのが、ブックデザイナーです。
彼らは、単に見た目を美しく仕上げるだけでなく、本の内容を的確に表現し、読者の心を掴むという重要な役割を担っています。
では、ブックデザイナーはどのようにして、本の魅力を最大限に引き出す装丁を生み出しているのでしょうか?
ここでは、デザインプロセスの一端を覗いてみましょう。
イメージを具現化する、素材選びと提案
ブックデザイナーは、本の内容を理解し、読者の手に取ってもらえるような装丁を生み出す、いわば本の顔となる重要な役割を担っています。
この「イメージを具現化する、素材選びと提案」の工程こそ、デザイナーのセンスと経験が問われるところです。例えば、温かい雰囲気の小説には、手触りの良い紙や、優しい色合いのインクを選ぶかもしれません。ミステリー小説なら、光沢のある紙に、タイトルを箔押しして高級感を演出するなど、本のテーマや世界観を表現する手段は多岐に渡ります。
単なる紙媒体ではなく、読者が手に取って触れることができる「モノ」としての本の魅力を引き出すため、ブックデザイナーは日々、素材と向き合い、アイデアを形にしています。
編集者との協働、そしてデザイン決定へ
読者の心を掴む装丁は、デザイナーの独りよがりで生まれるのではありません。ブックデザイナーは、まず編集者と綿密な打ち合わせを行います。そこで共有されるのは、本の内容はもちろんのこと、著者の想い、届けたい読者層、そして本の目指す方向性など、多岐にわたります。
デザイナーは、これらの情報を深く理解した上で、イメージを膨らませ、デザインの提案を行います。表紙に使う写真やイラスト、書体、色使い、紙質など、細部にわたるまで検討を重ね、編集者と意見交換を繰り返しながら、最適なデザインを模索していくのです。時には、編集者や著者の意向を汲み取りながらも、彼らも気づかなかった新たな魅力を引き出すような、大胆な提案を行うこともあります。
こうして、編集者とデザイナーの二人三脚で、読者の手に取られる瞬間まで、情熱が込められた装丁は生み出されていくのです。
本の顔となる装丁、その先の未来
これまで、本の表紙は読者に手に取ってもらうための重要な役割を担ってきました。しかし、電子書籍の普及が進む現代において、本の装丁は新たなフェーズを迎えています。 単に目を引くだけでなく、読者の感性を刺激し、所有欲を満たすような、より深く、より多様なデザインが求められていると言えるでしょう。
例えば、近年注目を集めているのが、特殊印刷や加工技術を駆使した豪華な装丁です。箔押しやエンボス加工、異素材を組み合わせることで、本を手に取ったときの触感や質感を追求し、五感を刺激する体験を提供しています。また、限定版や特装版といった、コレクター心をくすぐる試みも増えています。
さらに、装丁は本の内容を表現するだけでなく、読者と作品世界を繋ぐ架け橋としての役割も期待されています。作者のイメージを具現化するだけでなく、読者一人ひとりの解釈や想像力を掻き立てるような、奥深いデザインが求められています。
デジタル時代においても、装丁は本の魅力を最大限に引き出す、重要な要素であることに変わりはありません。むしろ、所有する喜び、手に取る喜びを再認識させる、新たな価値を創造する可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。